小耳症
生まれつき、耳が小さい病気のことで、胎生期における耳の形成不全が原因と言われています。
片方の耳が反対側よりやや小さいものから、ほとんど耳がない状態のものまで、様々な程度の小耳症があります。また両方の耳が小耳症のこともあります。
重症なものでは耳の形だけでなく、耳の穴やもっと奥の音を感じる部分(中耳、内耳)にも形成不全がみられたり、場合によっては頬や下顎の骨の異常や、顔を動かす神経にも異常がみられることがあります。聴力障害を伴う場合があり、その場合は耳鼻咽喉科と協力をしながら治療を行っていくことになります。
症状の程度にもよりますが、眼鏡やマスクがかけづらいなどの日常生活に支障をきたす場合は治療の対象となります。
小耳症の治療は手術なのですが、主に2回の手術が必要になることが一般的で、入院が必要なることが多いため、その際は適切な施設を紹介させていただきます。
1回目の手術は肋軟骨を使って耳のかたちを作る手術です。耳の大きさが大人に近くなり、耳を作るのに十分な肋軟骨が取れる体格となる10歳前後に行うのが一般的です。肋軟骨を採取して、耳のかたちの基礎となる枠組みを作ります。この枠組みを側頭部の皮膚の下に埋め込んで1回目の手術は終了となります。しかしこの時点では耳は側頭部にはりついたままの状態です。
2回目の手術は側頭部にはりついている耳を起こす手術です。作った耳を前方に持ち上げて耳の後ろに皮膚を移植します。これで眼鏡をかけたりマスクをかけたりする耳の後ろの溝が出来ます。
最近では、事前にエキスパンダーといった皮膚拡張器を挿入し、ある程度皮膚を伸展させてからこの手術を行うこともあるようですが、その場合は挿入のための手術が事前に必要になることになります。治療の方針は施設によって多少異なる場合もありますので主治医とよく相談されてから治療を受けることをお勧めします。当院では、外来または局所麻酔手術で対応できそうな範囲の修正については対応できますが、詳しくは診察してからになります。