扁平上皮癌(有棘細胞癌)
扁平上皮癌(Squamous Cell Carcinoma、SCC)は、角化細胞の悪性増殖による癌で悪性腫瘍の一種です。
日光暴露が最も一般的なリスク因子とわれており、特に長期間の紫外線暴露があった部位などが好発部位として知られています。過去の熱傷、放射線曝露、などもリスク要因となることがあります。
皮膚に発生した扁平上皮癌は通常、初期症状そしては皮膚上のできものや潰瘍として発症します。初期段階では小さな赤い斑点や鱗屑がかぶさり、進行すると潰瘍ができ、かさぶたなど痂皮が形成されることがあります。細菌の二次感染をきたして特有の悪臭を放つ場合もあります。
皮膚に発生した扁平上皮癌は、周囲の組織に侵入する傾向があり、深部組織やリンパ節への広がりがある場合があります。
扁平上皮癌はリンパ節への転移が比較的一般的であり、さらに遠隔転移も発生する可能性があります。
扁平上皮癌の治療法:
扁平上皮癌の治療法はがんの進行段階(ステージ分類)、病変の大きさ、部位、患者の全体的な健康状態などを総合的に評価し決定していきます。以下は一般的な治療法のいくつかです。
手術: 皮膚に発生した扁平上皮癌の主要な治療法は手術で、腫瘍の摘出が行われます。通常は4~10mmの健常部皮膚を含めて切除します。リンパ節転移を認める場合はリンパ節郭清も行います。皮膚欠損が大きく生じた場合は、各種の再建術を行う場合があります。小さい場合は、局所皮弁などで対応する場合もありますが、腫瘍が取り切れていることを必ず確認する必要があります。
放射線療法: 進行例で、手術が難しい場合やリンパ節への転移が疑われる場合、放射線療法が検討されることがあります。また、手術後の補完療法としても使用されることがあります。
化学療法: 化学療法は通常、進行した、手術ができないか、手術や放射線療法が効果的でない場合に考慮されます。しかし、皮膚に発生した扁平上皮癌に対する化学療法は比較的稀です。
各種の治療法は病変の進行度や患者の状態などを総合的に考慮し決定されます。いずれにせよ病変の早期発見が治療の効果に大きく影響します。皮膚にできた変化や異常がある場合、速やかに専門医に相談することが有効です。